インテルのファウンドリ戦略|先行するTSMCのコスト負担

2026-04-19 · Nikkei

岐路に立つインテルの再建案

インテルは再建の柱だったファウンドリ部門の分離を検討し、戦略の後退を示唆しています。対照的にTSMCの第1四半期売上高は359億ドル、粗利率は66.2%と極めて好調です。2026年のドルベースでの増収率は30%超を見込み、AI需要による供給不足は2027年まで続く見通しです。市場がかつてない活況を呈する中、インテルは自らの再建シナリオを根底から見直す、極めて困難な決断を迫られています。

エヌビディアによる垂直統合

エヌビディアはAIインフラの垂直統合を加速しています。2025年12月に設計ソフト大手シノプシスに20億ドルを出資。これは2026年3月に巨額出資を公表したエリオット・マネジメントに先んじる動きでした。さらに主要顧客のコアウィーブに11.5%出資し、同社の2025年3月の上場以来、株価は110%上昇。光通信大手への各20億ドルの出資も含め、競合に先んじてバリューチェーン全体を支配するプラットフォーム戦略を展開しています。

TSMCが抱える独占の代償

インテルの受託生産縮小は、TSMCに新たな難題を突きつけます。TSMCは先端2ナノの立ち上げや日米等の海外拠点稼働により、2026年の粗利率が最大4ポイント押し下げられる見通し。第2四半期の粗利率予想も65.5〜67.5%と、増収ながらもコスト増が利益を圧迫しています。インテルの失速は、TSMCが唯一の先端供給源として過度な地政学リスクとコスト負担を一身に背負うことを意味し、独占ゆえの脆弱性が浮き彫りとなっています。

2つの再編シナリオと判断材料

今後の焦点は2つ。一つは事業再編により設計部門が競争力を回復する道。バーンスタインの目標株価60ドルは再編への期待を反映しています。もう一つは、不透明感から顧客がTSMC等へ流出する道です。AIサイクルの速さに対し、インテルに残された時間は限られています。政府の支援や戦略的提携なしには、先端市場での再起は困難です。同社が保有する膨大な知的財産や資産が、地政学的需要を背景に正当に評価されるかが再建の鍵となります。