カバー5253|急落と急騰同じゲームが生んだ正反対の株価
ストップ高の朝
7月27日、東証グロース市場でカバー株式会社の株価が一時、制限値幅の上限となるストップ高水準まで買われました。前週末比300円、率にして22.22%高の1650円です。材料は自社開発のスマートフォン向けリズムゲーム「hololive Dreams」、通称ホロドリが100万ダウンロードを突破し、App StoreとGoogle Playの両セールスランキングで首位を獲得したことでした。
しかし同じこのゲームを巡って、株価はわずか4日前には正反対の動きを見せていました。7月23日の正式サービス開始直後、カバー株は後場に入って急落し、翌24日には大和証券がライバル銘柄の目標株価を引き下げたことも重なり、大幅続落を記録しています。同じ「ホロドリ」という一つの材料が、なぜ数日のうちに株価を急落させ、そして急騰させたのでしょうか。
「噂で買って事実で売れ」の教訓
gamebizの報道によれば、7月23日の急落は「噂で買って事実で売れ」という相場格言どおりの動きだったと分析されています。ゲームアプリの新作リリース前に株価が先回りして上がり、リリース後にはセールスランキングの順位にかかわらず株価が一時的に大きく下落するという場面は、これまでもたびたび見られてきたパターンです。
実際、7月23日には後場に入って急落し、24日にはトレーダーズ・ウェブが「目先材料出尽くし」との見方が優勢だったと伝えています。事前に株価が上昇していたこともあり、好調な滑り出しにもかかわらず利益確定売りに押される展開でした。この時点で市場は、ゲームの好調な滑り出し自体を、すでに株価に織り込み済みの材料と判断していたことになります。
ところが7月27日、市場の読みは更新されました。リリース直後の順位争いという曖昧な材料ではなく、100万ダウンロード突破、そして両ストアでの首位獲得という、より明確で確認可能な実績が新たに示されたのです。トレーダーズ・ウェブは「hololive Dreamsのセルラン1位を好感」と伝えており、材料出尽くしの読みを覆す具体的な数字が投資家の判断を動かしたことが読み取れます。
数字が変えた織り込みの中身
「hololive Dreams」は、女性VTuberグループ「ホロライブ」所属の総勢50人以上のタレントが参加する公式スマートフォンゲームで、株式会社QualiArtsとの共同開発です。リリース記念として15日連続で25曲を追加するキャンペーンや、事前登録者150万人突破を記念したゲーム内アイテム配布も実施されており、コンテンツを継続的に更新する設計になっています。
7月24日時点での急落の材料が「順位争いを演じている」という進行形の憶測だったのに対し、27日の急騰の材料は100万ダウンロードという確定した実測値と、両ストアでの首位獲得という結果です。同じイベントの異なる局面で、市場が反応する材料の性質そのものが、不確かな期待から検証可能な実績へと変わったことが、株価の逆方向の動きを説明しています。
gamebizは記事の中で、今後はセールスランキングの動きだけでなく、カバーとサイバーエージェント両社の決算発表でのコメントが注目されると指摘しています。カバーの決算期は3月で、直近期の売上高は493億3000万円、営業利益70億5600万円でした。ダウンロード数や首位獲得という滑り出しの実績が、実際の課金収益にどう結びつくかは、次の決算という具体的な検証点を待つ必要があります。目先の株価の乱高下は、この一本の実績確認までの過程と見るのが妥当でしょう。
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