ドル円159円台|160円突破を阻む壁
売り一巡と為替市場の緊迫
米国とイランの和平協議は合意に至りませんでした。週明け早朝、ドル円は一時159円85銭まで上昇しました。160円まで、残り15銭。それでも為替市場はそこで止まりました。
13日の東京株式市場では、日経平均が前日比421円安の56,502円で引けました。米イラン協議の決裂を受けて朝方は売りが先行しましたが、下値には買いが入り、下げ渋る展開でした。原油のWTI価格は朝方に一時1バレル105ドル台に上昇しましたが、その後は落ち着きを取り戻しました。
植田日銀総裁は同日、「中東情勢の緊迫化を受け、国際金融市場は不安定な動きが見られる」と述べ、「原油価格の上昇が基調物価に上下双方向に作用する可能性がある」と警戒感を示しました。原油高と市場の不透明感が重なる中で、ドル円は159円60銭台へとじわりと押し戻されました。
為替の注文情報を見ると、160円付近に個人投資家の売りが厚く積み上がっています。159円65銭、159円70銭、159円75銭、159円80銭、159円90銭、そして160円ちょうどに連続した売り注文が確認されています。この水準は、壁というよりも天井に近い形状を持っています。
160円が意味する水準
160円は単なる心理的節目ではありません。過去に為替介入が実施されたのは、2022年と2024年いずれも円安が160円前後を超えた局面でした。木原官房長官は13日、「金融政策の具体的な手法は日銀に委ねられる」と述べるにとどまりましたが、市場は政府の介入警戒ラインとして160円を強く意識しています。
今回のドル高圧力の源は二重構造を持っています。一つは米イラン情勢の不透明感による有事のドル買い。もう一つは、米国とイランの協議が解決に至らず原油相場が高止まりすることで、エネルギー輸入国である日本のファンダメンタルズが悪化するという円売り圧力です。
外為どっとコムの注文情報によると、159円台の下側には159円10銭から159円55銭にかけて個人投資家の買い注文が分厚く積まれています。これは円高方向への急落リスクを吸収するクッションとして機能しています。つまり159円台では下も固く、上も重い。160円を挟んで市場は膠着しています。
みんかぶの為替見通しは、今晩の予想レンジを159円00銭から160円20銭と設定しています。上限の160円20銭は介入への警戒が薄れた場合のシナリオです。米3月中古住宅販売件数の発表が今晩予定されており、これが強い内容であればドル買いが加速する可能性もあります。
突破か反転か、明日の分岐点
証拠の重みは、当面の膠着継続を指しています。ただし、その前提はイラン情勢が急展開しないこと、そして日本政府が160円を超えた段階で介入に踏み切るという過去の行動パターンが繰り返されることにあります。
まず上抜けのシナリオです。米イラン協議が再び決裂し、原油が110ドルを超えて再騰した場合、有事のドル買いが介入警戒を上回る可能性があります。この場合、ドル円が160円台を一時突破し、輸入コスト上昇が改めて企業業績の下押し材料として意識されます。愛媛の日銀松山支店が13日の報告で、「中東情勢の悪化を受けて原料調達コストの上昇を訴える企業が増えつつある」と指摘したように、製造業への実体経済への波及は既に始まっています。
一方、反転のシナリオです。米イラン間で部分的な停戦または交渉継続の合意が伝わった場合、原油価格は急落し、有事のドル買いは一気に巻き戻されます。ドル円は159円を割り込み、輸出関連株が売り直されます。
明日の検証ポイントは一つです。NY原油WTI価格が105ドルを上回るか、それとも100ドルを割り込むか。105ドル超でドル円の160円突破リスクが高まり、100ドル割れで一転して円買い圧力が強まります。欧米でのイランに関するニュースフローと、この原油水準を同時に確認してください。