大手テックのAI設備投資|会計上の乖離が隠す収益性リスク

2026-04-19 · Nikkei

構造的な資本再配分

アマゾン、アルファベット、マイクロソフトは前例のない規模でAIインフラ投資を加速させています。2025年の業界全体のAI設備投資額は、前年の2500億ドルから6500億ドルへと急増する見通しです。これは米国GDPの約2%に相当し、州間高速道路網の構築に匹敵する構造的な資本再配分ですが、多くの投資家は依然としてこれを従来の長期資本投資として評価しています。

3年で尽きる経済寿命

リサーチ・アフィリエイツのクリス・ブライトマン氏は、AIハードウェアの経済寿命を約3年と指摘します。エヌビディアの「H100」は2年目のROIが137%に達する一方、4年目には次世代機への交代によりマイナス34%に転じます。5〜6年という会計上の減価償却期間と実態の乖離により、報告上の利益が実質的な経済的利益を上回って過大に表示されている懸念があります。

投資競争のナッシュ均衡

各社が投資を止められないのは、ナッシュ均衡の状況にあるためです。競合が投資を続ける中で自社だけが抑制すれば、クラウド市場のシェアを失うリスクがあります。アンソロピックの「クロード・オーパス4.7」が各社プラットフォームで即時提供されたように、インフラ競争は激化しています。今後は性能だけでなく、規制対応などのガバナンス能力がプラットフォームの差別化要因となるでしょう。

独自チップと収益の行方

今後の焦点はAI収益が更新コストを上回るかです。ロバート・W・ベアードはマイクロソフトの目標株価を540ドルから500ドルへ引き下げました。株価が393ドル付近で200日移動平均線の455ドルを下回る中、打開策はアマゾンの「トレイニウム」やグーグルの「TPU」等の自社製チップ活用です。これでハード寿命を延ばせるかが鍵となります。不透明な「AI収益対AI設備投資比率」の実態を見極める必要があります。