日経平均最高値5万9585円|東証プライム80%が下落した日

· Nikkei

史上最高値を更新した日、市場の8割は下がっていた

4月22日、日経平均株価が終値ベースで史上最高値を更新しました。前日比236円69銭高の5万9585円86銭。3日続伸で、2026年のピークを塗り替えました。

しかし、その日の東証プライム市場では、約80%の銘柄が値下がりしていました。

TOPIXは終日マイナスで推移し、大引けで169ポイント安の3万4080ポイント。JPX日経400も3日ぶりの反落でした。日経平均だけが最高値を更新し、市場全体は下落する——これが4月22日の東京市場の実態でした。

朝方は売りが先行しました。前日21日の米国市場でダウ平均が293ドル安、ナスダックも144ポイント安と続落。東京も日経平均が245円安で寄り付きました。イラン情勢の先行き不透明感が続き、原油先物は89.67ドルまで上昇していました。この重しを引きずるかに見えた相場が、午前中盤から急速に切り返していきます。

転換点となったのは、ソフトバンクグループ株の急伸でした。「日経平均一時300円高、高値警戒感を打ち消すSBG株急伸」と日本経済新聞が伝えたように、SBG1銘柄だけで日経平均を約385円押し上げる場面がありました。アドバンテスト、TDK、キオクシアHD、レーザーテックなどAI・半導体関連の一角も上昇。しかし東証プライムの値上がり銘柄数は200台にとどまり、値下がりは1300銘柄を超えていました。

「いびつな上昇」——なぜ日経平均だけが最高値を更新できるのか

ロイターは当日の市場中継でこう報じました。「先物主導で日経平均が押し上げられており、いびつな上昇となっている」(国内証券ストラテジスト)。

日経平均は225銘柄で構成されますが、上位銘柄への加重が大きく、ソフトバンクG、アドバンテスト、ファーストリテイリングなど数社の動きが指数全体を左右します。この日はファーストリテが売られながらも、SBGとアドバンテストの2銘柄だけで大引け時点に約522円分を押し上げました。結果として日経平均は最高値を更新しましたが、その背後では圧倒的多数の銘柄が値下がりしていたのです。

さらに重要な文脈があります。JPモルガン証券は同日付のリポートで、日経平均の2026年末目標をこれまでの6万1000円から7万円に引き上げました。根拠として示されたのが、AI関連株が日経平均全体の45%を占めるようになったという事実です。日経平均の上昇をAI関連株がけん引し、AI関連株の動きを先物が増幅する——この回路が形成されています。

ただし、ここで一つの前提が崩れるリスクがあります。今日の最高値更新を支えたAI・半導体需要への楽観論は、イラン停戦の「延長」というトランプ大統領の表明を好感したものでした。しかし停戦が「延長」されたというのは、解決ではありません。原油先物は時間外で92.23ドルまで一時急騰しており、イランとの再協議の見通しは依然として立っていません。市場が安心感として買ったシナリオが、翌日には裏返る可能性を内包しています。

日経平均7万円への道——その前提が崩れるのはいつか

JPモルガンの7万円目標は、AI成長の加速とともに、企業改革によるバランスシート効率化、国内最終需要の回復を前提としています。2030年には10万円という見通しも示されました。現在の日経平均は6万円まであと1%強。大和証券のストラテジストが「機関投資家は今後半年から1年後の株価上昇を見込んで、買い遅れへの危機感を持っている」と述べたように、上値への期待は高まっています。

この流れが続く条件は二つです。一つは、AI・半導体需要の実績がピークアウトしないこと。今週から本格化する主要企業の3月決算でディスコが6期連続最高益、キヤノンMJが1Q経常41%増益と好決算が相次いでおり、この流れの継続が求められます。もう一つは、イラン情勢が悪化しないこと。原油が90ドルを定着して超えてくると、エネルギーコスト上昇が企業業績の重しになり、日銀の利上げ判断にも影響します。

逆にこの流れが崩れる条件も具体的です。東証プライムの騰落銘柄数の乖離が今以上に拡大した場合——つまりAI関連以外の銘柄の下落が加速した場合、指数の上昇は表面だけとなり、機関投資家の追随買いが止まります。空売り比率は22日時点で38.0%まで上昇しており、さらなる上昇局面では売りが増加しやすい水準にあります。

現状の根拠は「日経平均6万円→7万円」へ傾いています。ただしそれは、AI関連の上昇が指数の45%を押し上げ続けるという前提と、イラン停戦が形式だけでも維持されるという前提の上に成り立っています。今週後半の米国主要企業決算——テスラやIBMの結果と、イラン情勢の次の動き——がこの2つの前提を試す場になります。日経平均が最高値を更新した日に、市場の8割が下落していたという事実は、この上昇の基盤がどれほど広いのかを問い続けています。

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