日経平均6万円|2銘柄が上昇幅の81%を独占

· Nikkei

史上初の6万円台で、東証プライムの過半数が下落した日

アドバンテストとファナック。この2銘柄だけで、今日の日経平均の上げ幅821円のうち664円を押し上げました。割合にすると81%です。日経平均が史上初めて終値で6万円の大台を突破した日に、東証プライム全体では値下がり銘柄が53.2%を占めていました。

今日の東京市場は大幅続伸で始まりました。先週末の米国市場でナスダックが最高値を更新し、フィラデルフィア半導体株指数が18連騰を記録したことが追い風となりました。イランが米国に対してホルムズ海峡の再開と戦争終結に向けた新たな提案を提示したと伝わり、投資家心理がさらに改善しました。日経平均は後場中盤にかけて上げ幅を拡大し、一時は6万903円まで上昇しました。

「日経平均株価、史上最速の大台替わり 半年で5万→6万円」と日本経済新聞は報じました。5万円台に乗せてからわずか半年という、過去に類を見ないスピードです。前週末には「バフェット氏来日後に17兆円、日本株に海外資金定着」という記事も出ており、海外マネーの流入が株価を支える構図が定着しつつあります。

しかし、大引けの数字をよく見ると、値上がり銘柄は94、値下がり銘柄は130でした。東証プライム全体の値上がり比率は43.4%。最高値更新の当日に、過半数の銘柄が下落していたということです。

2銘柄で81%という集中の意味

アドバンテストは今日、上場来高値を更新しました。2027年3月期の純利益を24%増と見込む好決算を発表し、3期連続の最高益更新が視野に入っています。AI向け半導体検査装置の需要が継続的に拡大していることが背景にあります。ファナックは決算発表を受けてストップ高に迫る急伸を見せ、キーエンスも15.83%高となりました。

問題は、この物色がいかに特定の銘柄に集中しているかです。アドバンテスト1社で497円、ファナック1社で168円。合計665円分の押し上げ効果を2銘柄が生み出しました。残りの225銘柄からの寄与は156円に過ぎません。

これは一見、日本市場のAI・半導体シフトを示す明るい動きに見えます。実際、「ファナック株急伸、好業績・フィジカルAI株に資金流入」という見出しが並び、フィジカルAIと呼ばれるロボット・FA関連への期待も広がっています。

ただ、ここに一つの前提があります。この集中は、指数が実態よりも強く見えることを意味するという点です。日経平均は225銘柄の株価を単純に足して除数で割る計算方式です。株価水準の高い値がさ株の動きが、銘柄数の割合以上に指数を動かします。アドバンテストの時価総額は約22兆円。東証プライム全体の時価総額に占める比率は限られていますが、指数への影響力は群を抜いています。

一方で、同じ日に値下がり寄与のトップは中外製薬で、マイナス140円の押し下げ。野村総合研究所は13.41%安、ソフトバンクグループも下落しました。海運株は日経平均が最高値を更新した当日に逆行安となり、「米エリオットが商船三井に照準」という外部圧力の報道が重なりました。

この先、集中は続くのか、広がるのか

過去の日経平均節目突破と照らし合わせると、今回の集中度は際立っています。2024年2月に日経平均が34年ぶりに最高値を更新した際は、半導体株への集中はあったものの、銀行株や商社株など複数セクターへの物色が並走していました。今回は、物色の集中がより鮮明です。

「株高引っ張る『四つの力学』膨らむ期待と打撃『極めて非対称な状況』」という朝日新聞の見出しが、この状況を的確に表現しています。上昇を享受している層とそうでない層の非対称性は、指数と体感の乖離を生み出しています。

この集中が継続する条件は明確です。今週後半にかけて発表されるアルファベットやマイクロソフトなど「マグニフィセント・セブン」の決算で、AI向け設備投資の拡大が確認されることです。大型テックがAIインフラへの支出を積み増す姿勢を示せば、アドバンテストや東京エレクトロンへの需要見通しは一段と強まります。

一方、この集中が崩れる条件も同じく明確です。明日からの日銀金融政策決定会合で、利上げに向けた強いシグナルが発信される場合です。長期金利はすでに2.465%と2週間ぶりの高水準に達しています。値がさ・グロース株は金利上昇に敏感であり、アドバンテストの現在のバリュエーションが許容されているのは、金利環境が安定していることが前提です。

日経平均6万円という数字は確かに歴史的な達成です。しかし、その6万円が本当に日本市場全体の強さを反映しているのか。それとも、少数の銘柄が指数を引き上げているだけなのか。明日の日銀会合と、今週の米大型テック決算が、その答えを出す最初の試験台になります。

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