日経1042円安|6万円直前の急ブレーキ

· Nikkei

前日の最高値更新、翌日の1042円安

前日比1042円44銭安。日経平均は4日ぶりに反落し、5万8475円90銭で引けました。

前日の16日、日経平均は5万9518円まで上昇し、約1カ月半ぶりの最高値を更新しました。6万円の大台まで、あと481円という位置でした。その翌朝に何が起きたか。東京エレクトロン、ソフトバンクグループ、キオクシア。前日の上昇を牽引した半導体・ハイテク株に、利益確定の売りが一斉に集まりました。東エレクだけで日経平均を141円押し下げ、SBGが124円押し下げる格好となりました。

日経平均は開場直後に263円安でスタートし、前場終わりに587円安。そして大引けにかけてさらに下げ幅を広げ、この日の安値で終えました。国内年金による持ち高調整、最高値更新に伴う投資信託の解約売り、そして大引け前の「終値執行」注文と、複数の売り圧力が重なりました。日銀の早期利上げ観測が後退したことで、みずほ、三菱UFJといった銀行株まで連れ安となりました。

一日だけを切り取れば、急落です。1000円超の下落は衝撃的な数字です。ただし、ここで問うべきは「なぜ今日下がったか」ではなく、「この下落は相場の何を意味するのか」という別の問いです。

6万円直前が映す中期の地図

時計の針を戻します。4月上旬、日経平均は5万5000円台で推移していました。中東情勢の緊迫化、イランとの和平交渉の難航、原油先物の急騰。不安材料が積み重なる中で、相場は約3週間で4500円近く上昇しました。16日の最高値まで、上昇率は8%を超えます。

この文脈で今日の1042円安を見ると、景色が変わります。上昇幅4500円のうち、下落分は約23%。半値押しのラインは5万7000円台前半に位置しており、今日の終値はその水準を大きく上回っています。短期チャートでは25日移動平均からの上方乖離が意識されていましたが、乖離は今日の下落でかなり解消されました。

ロイターが報じたように、業種別の循環物色が今日の市場で起きていました。半導体関連が売られる一方、内需株やソフトウェア関連が底堅さを見せ、任天堂は新作ゲーム「トモダチコレクション わくわく生活」の初動が好調との見方から逆行高となりました。一方向に崩れたわけではない。この点が、今日の下落の性質を示しています。

信越化学工業は今日、シリコーン全製品を5月出荷分から10%以上値上げすると発表しました。中東情勢による原油・ナフサの高騰が背景です。来週にはディスコ、キーエンス、中外製薬の決算発表が控えており、個別材料での値動きが活発になる時期に入ります。短期的な過熱感の解消と、決算シーズンの到来。この2つが重なる局面です。

どちらのレンズで見るか

短期で見れば、今日の1042円安は警戒を要します。6万円の壁を前にした反転、週末の中東情勢を前にしたリスクオフ、日銀利上げ観測の後退で銀行株まで巻き込んだ全面安。「急ピッチな上昇の反動」という読みは、数字の上では正しいです。

中期で見れば、地合いは崩れていません。米ナスダックは16日に連日で最高値を更新しており、対日本株の先高期待は根強い。日経平均は3月中旬の安値から6000円以上の回復過程にあり、今日の下落はその途上における調整という位置づけです。年金・投信の売りは需給整理であり、需要が消えたわけではありません。

証拠の重心は、中期の強気方向に傾いています。ただし、それが成立する条件は一つです。米国とイランの和平協議が進展し、原油価格の高止まりが解消されること。仮に今週末の協議が物別れに終われば、ドル円の円売りが続き、日本の財政への悪影響が意識される展開となります。来週月曜日の原油先物と為替の動きが、今日の下落が「調整」か「転換」かを判断する最初の基準となります。

日経平均が5万7000円台前半、すなわち半値押しの水準を割り込むかどうか。これが週明けに確認すべき一点です。

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