GO(581A)ストップ高20%|タクシー縮小業界で利益2倍の逆説

· Nikkei

タクシーアプリが急騰——衰退産業で利益が2倍になる矛盾

日常でタクシーを呼ぶアプリ「GO」を運営するGO(581A)が本日、ストップ高の+20.4%で終値2,950円をつけた。6月16日に上場したばかりのIPO銘柄が、初の本決算発表の翌日に買い注文を集め、年間最大の上昇率を記録した。

14日引け後に発表した26年5月期の連結経常利益は前の期比2.5倍の64.5億円に着地した。さらに27年5月期の予想は前期比2.0倍の131億円と、利益倍増が二期連続で続くと会社側は見込む。ここで直感に引っかかる疑問がある——タクシー業界はドライバー不足と車両減少が語られ続けているのに、なぜGOだけが利益を加速させているのか。

答えの入口は「実車数」という指標にある。ユーザーがアプリ経由で配車注文し実際に乗車した回数と、1回当たりの平均売上高がともに大きく伸びたと会社は説明する。これは単純な顧客獲得ではなく、同じ乗車一回からより多くの収益を得る構造が動き始めていることを意味する。その具体的な仕組みが、次の問いを引き出す。

利益倍増の構造——配車以外の収益が本体を変えた

GOの収益構造で見落とされやすい要素が、タクシー後部座席のタブレット端末を通じた広告配信と多様な決済サービスだ。アプリで配車を呼ぶだけでなく、乗車中の広告接触と決済完結という「移動中の閉じた空間」を収益化している。この発想は、単なる配車仲介手数料モデルとはまったく異なる構造を生む。

ここで論理が逆転する。タクシーの台数が減っていることは、GOにとってむしろ追い風として機能している可能性がある。需要がアプリに集中しながら供給が絞られれば、実車単価は自然に上がる。実車一回当たりの平均売上高が伸びたという事実は、この価格決定力がすでに数字に現れていることを示唆する。配車アプリは業界の苦境を「吸収」しているのではなく、それを「収益源」に変えているかもしれない。

前期の売上高は前の期比31.8%増の414億4600万円を達成しており、今期は同17.0%増の485億円を目指す。売上成長率が鈍化する一方で営業利益は84.6%増の130億円を見込むという数字は、成長から利益化へのギアチェンジを示している。売上の伸びが鈍っても利益が倍増するなら、それは費用構造が大きく変化していることを意味する。一方でこの楽観には一つの死角がある。

2倍利益が確認される条件——保有者と観望者が見るべき一点

前期の最終利益(88億3800万円、前期比4.4倍)には繰延税金資産の計算前提変更という一時的な押し上げが含まれていた。これは翌期には繰り返されない。今期予想の最終利益112億円(前期比26.7%増)はその一時要因を除いたベースからの成長を示しており、逆に言えば「経常利益2倍」の方が実力を映している。ここで問うべきは、その経常131億円が達成可能かどうかだ。

利益目標の達成を決めるのは一点に絞られる——実車数と1乗車当たりの平均売上高が今期も同じ成長軌道にあるかどうかだ。IPO後初の四半期決算(Q1、対象期間は2025年6月〜8月)は2026年9月末頃に開示される予定で、これが「経常2倍」の信頼性を最初に検証できる数字になる。保有者はこのQ1の実車数の成長率と単価の方向を確認するまでポジションの評価を保留するのが合理的だ。観望者にとっては、ストップ高の翌日に株価が落ち着くかどうかよりも、Q1で実車数の伸びが前期水準(大きく伸びた)を維持しているかどうかが参入を考える上での本来の検証点になる。GOのストップ高は「タクシーアプリへの日常接触」と「利益の急加速」が初めて財務数字として示された日の反応だが、その数字が一期の幸運ではないことをQ1が証明するかどうか——そこが機会と罠を分ける分岐点だ。

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