さくらインターネット|半導体総崩れの日に逆行高10.86%純利益6.9倍の上方修正

· Nikkei

急騰の事実

さくらインターネットが28日、2027年3月期の連結純利益予想を従来の8億5000万円から15億円へ、6.9倍に上方修正しました。発表を受けて株価は前日比315円高の3215円まで買われ、上昇率は10.86%に達しました。この日の日経平均は一時3000円を超える下落を記録し、東証全体では半導体関連株が総崩れとなっていました。

同じ半導体・AI関連という括りでありながら、キオクシアがストップ安となりアドバンテストが指数を押し下げるなか、さくらインターネットだけが逆行して買われました。この対比は単なる偶然ではなく、GPUという同じ言葉が二つの銘柄で正反対の意味を持っていたことを示しています。

上方修正の中身

4〜6月期の第1四半期決算では、売上高が前年同期比49%増の111億3400万円、純利益は8億5500万円の黒字となりました。前年同期は3億2400万円の赤字だったため、黒字転換という質的な変化が数字の裏にあります。会社側はこの好調の主因をGPUインフラストラクチャーサービス「高火力」の想定を上回る稼働率の高さだと説明しています。

通期の経常利益予想は従来の12億円から23億円へ91.7%引き上げられ、前期比の増益率は11倍から22倍に拡大しました。上期の経常損益も5.5億円の黒字から22億円の黒字へ4倍に修正され、2期ぶりに上期として過去最高益を更新する見通しです。1Qの売上営業損益率も前年同期のマイナス6.1%からプラス11.0%へ急改善しています。

この改善は一過性の特需ではありません。前期はABCIという公的機関のGPU基盤が市場価格を大きく下回る価格でサービスを提供したため、同社のGPU稼働率が想定通り上がらず値引きを迫られる局面がありました。今期はそのABCIのキャパシティが上限に達し、同社が組織変更を含む営業力強化を進めた結果、値引き圧力が薄れて案件獲得が進んだという構造変化が業績の背景にあります。

続く投資という賭け

同社は同時に、NVIDIA製の次世代GPU「HGX Rubin NVL8」を搭載したサーバーラックシステムなどへ260億円を投資すると発表しました。納入予定時期は2027年1月で、資金は金融機関からの借り入れで賄う計画です。この260億円は今回の上方修正した業績予想にはまだ織り込まれていません。

2026年3月期末時点の自己資本比率は36.5%で、一定の健全性は保たれていますが、2027年3月期の投資計画は198億円規模とされ、さらに260億円のRubin投資が上乗せされます。GPU調達は会社自身が中長期的には成長の柱ではなく短期的な成長要因と位置づけており、次世代GPUの導入時期は市場動向を見極めながら判断するとしています。稼働率の高さが続く限りこの投資は成長エンジンですが、生成AI需要の伸びが鈍化すれば、積み上がった設備投資が重荷に変わるという構造は変わっていません。

この日の急伸は、市場全体が半導体株を売る中で、GPUインフラを自社で保有し運用する国内唯一のガバメントクラウド事業者という立ち位置が評価された結果です。ただし今回の上方修正はすでに確保した需要を反映したものであり、260億円を投じる次世代GPUが2027年1月の納入後にどれだけの稼働率で回るかは、まだ確認されていない変数として残っています。現時点で言えるのは、稼働率の改善という証拠に基づいた強気材料と、追加投資という未確認のリスクが同時に存在しているという評価にとどまります。

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