三菱UFJ8306|利上げ追い風で高値更新債券市場は同じ材料に慎重
上場来高値、その日の値動き
7月25日、三菱UFJフィナンシャル・グループの株価が前日比101円、率にして2.75%上昇し、3769円をつけました。これは約1週間ぶりの上場来高値更新です。中東情勢の緊迫による原油高と円安・ドル高の進行を背景に、国内のインフレ圧力が高まるとの見方が、日本銀行の早期・追加利上げ観測をメガバンク株を押し上げた形です。
銀行株にとって利上げは単純な追い風です。実際、三菱UFJだけでなく三井住友フィナンシャルグループも同時に上場来高値を更新しており、貸出金と利ざやの伸び拡大が続いていることが市場で確認されています。この動きだけを見れば、答えは明快に思えます。日銀が利上げを続ける限り、メガバンク株は買われる、という単純な構図です。
利上げサイクルの現在地
しかし、なぜ今この水準まで買われるのかを理解するには、日銀の利上げサイクルの現在地を見る必要があります。日本銀行は6月の金融政策決定会合で政策金利を1%に引き上げました。これは約30年ぶりの高水準です。しかも、この1%という水準は、日銀自身が示してきた中立金利レンジの下限にすでに到達した水準だと指摘されています。
中立金利の下限に到達したということは、ここから先の利上げは、景気を冷やさない範囲を試す段階に入ることを意味します。市場の関心は、今回の利上げ局面がどこで打ち止めになるのか、その最終ゴールの水準に移りつつあります。三菱UFJの株高は、この最終ゴールがまだ先にあるという楽観を織り込んだ動きだと読むことができます。
債券市場は同じ材料を警戒する
ところが、同じ利上げ観測を前にして、債券市場ではまったく違う反応が見られます。価格が下落し利回りが上昇している日本国債に対し、機関投資家の買いは広がっているものの、多くの投資家は大きな買いポジションを取るような賭けには出ていません。金利上昇や大規模な財政出動、インフレ懸念を背景に、日本国債の売りが続いているためです。
この慎重姿勢の背景には、日本国債トレードが多くの投資家に損失を生んできた歴史があり、市場では「ウィドウ・メーカー」、日本語で未亡人製造機と呼ばれてきたという事実があります。つまり、株式市場が利上げを好感して三菱UFJを買い上げている同じ瞬間に、債券市場では海外勢がその同じ利上げ観測を理由に警戒を強めているのです。同じ材料に対して、株と債券がまったく逆の行動を取っている。これが今の相場が抱える核心の矛盾です。
検証点と現時点の見立て
この矛盾に決着をつける可能性がある次の節目は、7月30日と31日に開かれる日銀の金融政策決定会合です。市場のコンセンサスは政策金利の据え置きですが、40年ぶりの円安を背景にタカ派姿勢への警戒を促す声も広がっています。据え置きであっても、会合後の発言のトーンが市場の織り込みより一段とタカ派であれば、株式市場が先取りしてきた楽観がどこまで持続するかが問われることになります。
現時点で言えるのは、三菱UFJの株高を支える貸出金利ざやの拡大という業績面の追い風は事実として確認できるということです。ただし、その上昇のペースが債券市場のコンセンサスよりも速い利上げ観測を織り込んでいる可能性がある以上、この上場来高値がどこまで正当化されるかは、日銀が中立金利レンジの下限からどこまで、どの速さで踏み込むかにかかっています。答えはまだ、来週の会合の先にあります。
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